Saturday, January 26, 2008

シナモンドーナッツ

昨日はほぼ定時で仕事をあがり、
先輩とお茶をして帰ってきた。

先輩が以前から気になっていたドーナッツ屋さんがあると言うので、
そこに行ってみることにした。

ショーウィンドウにはカラフルなドーナッツが並んでいて、どれもおいしいそう。
昔ならその毒々しい色にびっくりしていたのだろうけど、
最近はもう驚かないよね。どこでもよく見られる光景。

私はシナモンシュガー ドーナッツと紅茶を注文した。
数多くあるメニューにかなり迷いはしたが、
最終的に注文するのはこれだな、と、最初から心の中で決めていた気がする。
先輩は白ゴマドーナッツを注文していた。

ちょっと高さのあるカウンターチェアのテーブル席に陣取って、
まじまじとドーナッツを眺めてみた。
このドーナッツは完璧かもしれない。
形も色も理想に近い。
こうなってくると、いざ食べるのに勇気がいる。
せっかく完璧を見つけたのに、味によってそれが壊されてしまうかもしれない。

しばらく食べずに眺めていたが、目の前では先輩が白ゴマドーナッツをぱくぱくと 頬張り、 おいしー!と言っている。
このまま食べないのも不自然だし、
味への不安よりも期待や興味の方が勝ってきたので、
勇気を出して食べてみることにした。

食べてみて正解、味もほぼ完璧。
寒天が練りこまれているのでしっとり・・・というのがこのドーナッツの売りだったのだが、 そのお陰なのか、しっとりしていて弾力もあってバッチリだった。
シナモンも効いていて、砂糖のジャリジャリとした食感も期待どおり。
チュロスなんかは大抵の人が食べたことあるだろうから、特に珍しくはない味だと
思う。 なんだか安心する味だった。
これでもう少し油っこくなければ、文句なしのパーフェクトドーナッツだ。


私がここまでシナモンドーナッツにこだわるようになったのは、
村上春樹のせいだ。
この人の物語にはときどきドーナッツが登場するのだが、
そのドーナッツがいつもいつもおいしそうなのだ。
村上春樹を読むと、そのお話にドーナッツが登場しようとしまいと
必ずドーナッツが食べたくなる。
いつからこんなふうになったのかは憶えていないが、
こういう癖がついてからずいぶんと長く経つ。

小学生の頃から愛読している 『ひつじ男のクリスマス』 という村上春樹の小説に、
シナモンドーナッツをこよなく愛するひとりの博士が出てくる。
彼の食べているシナモンドーナッツは、世界で一番おいしいに決まっている。
私も一度食べてみたいとずっと思っていた。

他にもねじりドーナッツが重要なアイテムとして登場するのだが、
登場人物たちがこれをむしゃむしゃと食べるたびに、
私の手元にねじりドーナッツがないことを恨んでしまう。
村上春樹を読もうと思ったら、ねじりドーナッツをまず用意することにしている。
そうでなくても、ねじりドーナッツを見ると買ってしまうことが格段に増えた。
ねじりドーナッツが手に入らなければ他の物で妥協することもあるのだが、
それにしてもミスタードーナツにはどうしてねじりドーナッツがないのだろう。
とても憎々しい。

こんな理由で、シナモンドーナッツとねじりドーナッツは
自分にとって特別な食べ物 なのである。
昨日はイメージ通りのシナモンドーナッツに出会えてだいぶ感動した。

ここに書いた話を、つい先輩にその場で熱く語ってしまった。
先輩はにこにこしながら私の話を聞いてくれた。
やさしいお姉さんができたようでうれしかった。

紙袋に無造作に入れられたドーナッツっていいよなぁ。
飾らない感じがとてもいい。
ドーナッツは箱に入っているより、紙袋に入っている方が好きだな。
そのカジュアルさが私の性分に合っている。

口の周りに砂糖をつけながらドーナッツをほおばる恋人を想像してみたら、
あまりに可愛くて微笑ましかった。
勝手な妄想ではあるが、やっぱりドーナッツは気持ちが和むし楽しいなぁ。

シナモンドーナッツとねじりドーナッツを持ってどこかに出掛けたいな。
青空の下でむしゃむしゃ食べたい。

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